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節税にも直結!フリーランスのための必要経費の基本と判断ポイント

「これって必要経費?」に答えます!フリーランスの経費不安をスッキリ解消
フリーランスであれば誰しも、「この支出は経費になるの?」と一度は悩んだことがあるはずです。
この記事では、必要経費の基本的な考え方から判断基準、勘定科目ごとの具体例、よくある迷いやすい支出、そして在宅ワーク時に役立つ家事按分までを網羅的に解説します。確定申告前の不安を解消したい方におすすめの内容です。
節税だけじゃない!フリーランスが必要経費を正しく知るべき理由
「経費を計上する」と聞くと、なんとなく節税のため…という印象があるかもしれません。それも大切ですが、本質的には「事業に必要なお金の流れを整理する」ことが目的です。
無駄な支出やコストの偏りに気づけたり、利益率を見直したりと、経営判断にも役立ちます。また、納める税金を正しく減らすことにもつながり、健全なフリーランス活動を支える土台になるでしょう。
国税庁によれば、必要経費とは「総収入金額に対応する売上原価その他その総収入金額を得るために直接要した費用の額」および「その年に生じた販売費、一般管理費その他業務上の費用の額」と定義されています。この定義を踏まえつつ、フリーランスにとっての必要経費をより具体的に見ていきましょう。
迷ったらこの3つで判断!必要経費になるかどうかの見極め方

Q1「事業との関連性があるか?」
「事業の売上に貢献するための支出か?」という視点が、必要経費を考えるうえで最も重要なポイントです。
たとえば以下のようなケースは、事業との関連性が明確です。
- ライターが記事執筆用に購入した参考書籍
- デザイナーが業務に使うグラフィックソフトのサブスク
- カメラマンが撮影のために購入した機材や道具
事業との関係性をきちんと説明できるかが、計上のカギになります。
Q2「常識的かつ合理的な範囲か?」
一般的な感覚で見て「業務に必要で、かつ常識的な支出か?」という視点も重要です。
- 打ち合わせの飲食代 → 高級レストランでの頻繁な会食は、常識の範囲を超えると判断されやすい
- 消耗品のまとめ買い → 在庫として抱えるほどの大量購入は、使用実態とのずれが生じると判断される可能性あり
- 出張費 → 宿泊や交通費が相場を大きく超えると、合理性を疑われる
頻度やタイミングも含めて、「客観的に見て妥当かどうか」を意識しましょう。
Q3「証拠書類があるか?」
正当な支出でも、証拠がなければ経費とは認められません。
- 領収書・レシート(できるだけ発行日・店名・金額が明記されたもの)
- 会食や打ち合わせの場合は、誰と・何の目的で使ったかをメモ
- ネット決済やサブスクは、明細や画面キャプチャを保管しておく
支出直後に記録しておくことで、「これは何だったっけ?」と後で迷うことも防げます。こまめな記録を心がけましょう。
出典:国税庁|個人で事業を行っている方の記帳・帳簿等の保存について
よく使う必要経費を勘定科目ごとに整理【フリーランス向け】
よく使う勘定科目とその中身
フリーランスがよく使う勘定科目と、該当する支出例は以下のとおりです。
- 消耗品費:文房具、名刺、インク、USBメモリなど少額備品
- 通信費:スマホ代、Wi-Fi料金、Zoomなどオンライン会議ツールの利用料
- 旅費交通費:打ち合わせや出張の電車・バス代、宿泊費など
- 外注費:ライティングやデザインなど、他のフリーランスへ依頼した業務の報酬
- 広告宣伝費:SNS広告、チラシ、ポートフォリオ制作、名刺デザイン費など
勘定科目は「使い道」と「物の性質」を見極めれば、無理なく分類できます。
出典:国税庁|「消耗品費ー確定申告書作成コーナー」、「必要経費ー確定申告書作成コーナー」
「これはどの科目?」迷ったときのヒント
どの科目にすべきか迷ったときは、次の2点を基準に考えましょう。
- 物の性質:「それは何か?」に注目。物の性質に応じた科目を判断します。
- 使い方:「どう使うか?」を意識。業務用途かつ頻繁使用なら消耗品費、それ以外は固定資産扱いになることも。
会計ソフトを使えば、自動で勘定科目を提案してくれる場合もあります。迷ったときの強い味方になりますので、積極的に活用しましょう。
意外と見落としがち?フリーランスが必要経費にできる支出例
条件を満たせば経費にできる可能性がある支出を紹介します。
要チェック!見落としやすい経費対象の支出7選
- 書籍代:業務のスキルアップや調査に必要な内容であれば対象。
- コワーキングスペース利用料:作業や打ち合わせなど、事業用途ならOK。
- 講座参加費:自己研鑽のための支出も、業務に関係すれば経費に。
- カフェ代:作業や打ち合わせ目的であればOK。ただし頻度や金額には注意。
- 撮影費・印刷費:営業活動の一環と説明できれば問題なし。
- ウェブサイト制作費、ドメイン・サーバー代:事業用のホームページであれば明確に経費扱い。
少しでも「事業に関係している」と感じた支出は、忘れずに記録しておくと後からの判断が楽になります。
「なんでもOK」はNG!経費計上で気をつけたいポイント
以下のような支出は原則として必要経費には認められません。
- 所得税や住民税など、自身の税金や罰金
- 完全にプライベートな買い物
- 青色申告の届出をしていない家族に対する給料
業務に必要な支出と私的支出の線引きを明確にしましょう。
在宅のフリーランス必見!家賃や光熱費の必要経費化【家事按分】
在宅ワークをしているフリーランスにとって、自宅の支出をどう扱うかは悩みの種です。そんなときに知っておきたいのが「家事按分」という考え方です。
家賃や光熱費を経費にできる?家事按分の基本
家事按分とは、自宅の支出のうち「事業で使った分だけ」を必要経費として計上する方法です。たとえば住居兼オフィスとして自宅を使っている場合、家賃や電気代、水道代なども一部が経費として認められる可能性があります。
ただし、仕事とプライベートの区別が曖昧になりがちなので、明確な基準に基づいて按分することが大切です。
どこまでが経費?按分できる費用と注意点を整理
家事按分の対象になる支出には、以下のようなものがあります。
- 家賃
- 光熱費
- 通信費
- 自動車関連費用
- 消耗品費・備品費
- 新聞図書費
あくまで「仕事に使っている割合」に応じて按分するのが原則です。
家賃や光熱費、どうやって計算する?按分の具体例でわかりやすく解説
たとえば1LDKの自宅(40㎡)のうち、8㎡の部屋を完全に仕事用として使っていて、週5日間在宅で働いている場合、以下のように按分して経費を算出します。
【計算例】
- 家賃:8㎡ ÷ 40㎡ = 20% 100,000円(1か月の家賃) × 20% = 20,000円/月
- 通信費:5日 ÷ 7日 = 71% 16,000円(1か月の通信費)× 71%= 11,360円/月
- ガソリン代:10km(事業分の走行距離) ÷ 100km(1か月の走行距離) = 10% 5,000円 (1か月のガソリン代)× 10% = 500円/月
面積や使用時間、使用距離など合理的な基準に基づいて計算することが重要です。按分割合の根拠は明文化し、税務調査時にも説明できるよう準備しておきましょう。
まとめ|フリーランスの必要経費は「基準」と「記録」でブレない
必要経費の判断には、「事業性」「合理性」「証拠性」の3つの基準が欠かせません。日々の支出に迷ったらこの記事のチェックポイントに立ち返り、自信を持って経費を記録していきましょう。
フリーランスとして働くうえで、経費の知識は大きな武器になります。将来の税務調査にも慌てないために、今日から経費の見直しと記録を始めてみましょう。