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フリーランスが得するiDeCo入門|節税と資産形成を両立するコツ

フリーランスの老後対策として話題のiDeCo。「節税効果が高いらしい」と聞きつつも、具体的なメリットや注意点がわからず、一歩踏み出せない方も多いのではないでしょうか。
この記事では、フリーランスが知るべきiDeCoの5大メリットから、国民年金基金との違い、賢い掛金設定のコツまでを網羅的に解説します。将来の安心と現在の節税を両立させる、はじめの一歩にしてください。
なお、フリーランス互助会では、起業支援や業務支援など、フリーランスや個人事業主向けのサポートを提供しています。社会保障に関するご相談も受け付けていますので、ぜひお気軽にお声がけください。
iDeCoとは?自分で運用する「確定拠出型年金制度」
iDeCo(イデコ)とは「個人型確定拠出年金」の愛称で、国民年金や厚生年金といった公的年金に上乗せして、自分で将来の資産を準備する私的年金制度の一つです。
その最大の特徴は、自分で掛金の額を決め、自分で金融商品を選んで運用し、その成果を将来年金として受け取るという点にあります。
掛金が税金の優遇対象となるなど、フリーランスが老後資金を効率的に準備していくうえで、非常に強力な選択肢と言えるでしょう。
2025年にどう変わった?加入資格と拠出限度額
iDeCoは、フリーランス(国民年金の第1号被保険者)であれば基本的に加入できます。
2025年(正確には2024年12月)から制度の一部が見直されましたが、フリーランスの掛金上限額(拠出限度額)である月額68,000円(年額816,000円)に変更はありません。
会社員などの上限額が見直されたため話題となりましたが、フリーランスにとってはこれまで通り、国民年金基金等との合計でこの上限額まで拠出できる、というルールが継続されます。
掛金は「全額所得控除」で節税へダイレクトに貢献
iDeCoがフリーランスに支持される最大の理由は、その高い節税効果です。毎月支払う掛金は、その全額が「小規模企業共済等掛金控除」という所得控除の対象となります。これにより、確定申告の際に課税対象となる所得を直接減らすことができるため、その年の所得税と翌年の住民税の負担が軽減されます。
つまり、将来のための資産形成をしながら、今現在の税金を安くできるという、一石二鳥の効果が期待できるのです。
iDeCoと国民年金基金の違いを徹底解説
フリーランスが利用できる私的年金制度として、iDeCoとよく比較されるのが「国民年金基金」です。どちらも節税メリットのある魅力的な制度ですが、その性格は大きく異なります。
例えるなら、自分で積極的に資産を育てる「攻めのiDeCo」と、将来の受給額が決まっている「守りの国民年金基金」と言えるかもしれません。
ご自身の考え方やリスク許容度に合わせて選ぶために、両者の根本的な違いを理解しておきましょう。
運用主体とリスク許容度
最も大きな違いは、運用の主体とそれに伴うリスクです。iDeCoは、自分で投資信託などの運用商品を選び、その運用責任も自分で負います。そのため元本割れのリスクがありますが、高いリターンも期待できます。
一方、国民年金基金は専門機関が運用を行い、将来受け取る給付額は加入時に確定します。自分で運用リスクを取りたくない、着実に資産を築きたいという安定志向の方に向いている制度です。
受給形態と長生きリスクへの対応
将来の年金の受け取り方にも違いがあります。国民年金基金には、生きている限り年金を受け取れる「終身年金」の仕組みがあり、「長生きリスク」にしっかりと備えられます。
対してiDeCoは、自分が積み立てた資産を取り崩して受け取るのが基本で、終身年金はありません。そのため、iDeCoで準備した資産をいつ、いくら受け取るかという計画は、自分自身で管理する必要があります。
フリーランスが押さえておきたいiDeCoの5大メリット
iDeCoには多くの利点がありますが、その中でも特にフリーランスが知っておくべき「5つの大きなメリット」が存在します。
- メリット1:掛金の全額が所得控除の対象になる
- メリット2:運用して得た利益(運用益)がすべて非課税になる
- メリット3:将来受け取るときにも大きな控除が適用される
- メリット4:フリーランスは掛金の上限額が高い
- メリット5:月々5,000円から始められ、掛金の変更も可能
まず最大のメリットは、支払った掛金の全額が「小規模企業共済等掛金控除」として、その年の所得から差し引けることです。これにより課税所得が直接減るため、所得税や住民税の負担を大きく軽減できます。確定申告を行うフリーランスにとって、これほど分かりやすく強力な節税策はなかなかありません。
次に、通常は投資で得た利益に約20%かかる税金が、iDeCoの口座内では一切かからない点も非常に重要ですさらに、将来資産を受け取る際にも「退職所得控除」または「公的年金等控除」という大きな税制優遇が適用されます。入口から出口まで税金の恩恵を受けられるのがiDeCoの強みです。
また、フリーランスはiDeCoに拠出できる掛金の上限額が月額68,000円と、他の加入者区分に比べて高く設定されています。一方で、月々5,000円という少額から始められ、年に1回は掛金の変更も可能です。収入が変動しがちなフリーランスでも、無理のない範囲でスタートし、状況に応じて柔軟に見直しながら続けられる安心感があります。
iDeCoを利用する際のデメリットと注意点
多くのメリットがあるiDeCoですが、利用する際には注意すべき点も存在します。最も重要なのは、積み立てた資産は原則として60歳まで引き出すことができないという点です。これは急な出費などに対応できないことを意味します。
また、運用商品によっては元本割れの可能性もありますし、加入時や運用期間中に所定の手数料がかかることも事実です。これらのデメリットを理解し、あくまで余裕資金で長期的に取り組むことが大切になります。
掛金設定を最適化して節税と資産形成を最大化するコツ
iDeCoを始めるにあたり、毎月の掛金をいくらに設定するかは重要なポイントです。単に「上限額まで」と決めるのではなく、ご自身のライフプランやキャッシュフローに合わせて戦略的に考えることで、節税と資産形成の効果を最大化できます。
ここでは、掛金設定の考え方に関する2つのコツをご紹介します。これらを参考に、ご自身に最適なプランを設計してみてください。
掛金配分は「逆算」で決める
効果的な掛金設定のコツは、ゴールから「逆算」して考えることです。まず「老後にどのような生活を送りたいか、そのためにはいくら必要か」という目標を立てます。
次に、公的年金でまかなえる額を差し引き、iDeCoで準備すべき目標額を算出します。
そして最後に、その目標額を達成するためには、想定する利回りで毎月いくら積み立てる必要があるかを計算します。この手順で、根拠のある掛金額を設定できます。
5,000円刻みでフレキシブルに掛金を調整する
iDeCoの掛金は、最低5,000円から1,000円単位で自由に設定でき、年に1回見直しが可能です。フリーランスは収入が変動しやすいため、この柔軟性は大きなメリットです。
例えば、事業が軌道に乗るまでは最低額で始め、収入が安定してきたら増額するという使い方ができます。無理のない範囲で始めることで、長期的な継続が可能となり、結果的に資産形成を成功に導くことにつながるでしょう。
iDeCoを有効活用して節税と将来の資産形成を両立しよう
iDeCoは、フリーランスが「現在の節税」と「将来の資産形成」を両立できる、非常にパワフルな制度です。元本割れのリスクや60歳まで引き出せないといった注意点はありますが、それを上回る税制上のメリットは計り知れません。
国民年金基金との違いを理解し、ご自身の資産状況やリスクに対する考え方に照らし合わせて、iDeCoの活用を検討してみてはいかがでしょうか。まずは金融機関の資料請求から、未来への一歩を踏み出しましょう。
フリーランス互助会では、起業支援や業務支援など、フリーランスや個人事業主向けのサポートを提供しています。社会保障に関するご相談も受け付けていますので、ぜひお気軽にお声がけください。