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フリーランスのメリット・デメリットは?業種別の違いや独立準備のポイント

フリーランスのメリット・デメリットは?業種別の違いや独立準備のポイント
フリーランスのメリットは、案件を受けるかどうかや稼働時間・作業量をすべて自分の意思で決められる点にあります。もちろん、その分だけ結果への責任も背負いますが、自分らしく働ける手応えは格別です。
本記事では、フリーランスのメリットとデメリットを具体的に整理し、職種ごとの特徴や独立前に準備しておきたいポイントまで詳しく紹介します。
なお、フリーランス互助会では、起業支援や業務支援など、フリーランスや個人事業主向けのサポートを提供しています。個人事業主やフリーランスとして働く中で不安がある方は、ぜひフリーランス互助会にご相談ください。
フリーランスとは? 個人事業主・会社員との違い
フリーランスと個人事業主、会社員の違いは以下の通りです。
区分 | フリーランス | 個人事業主 | 会社員 |
---|---|---|---|
定義 | 経験・スキルを活かし、企業と業務委託契約を結ぶ働き方 | 税務上の区分を表し、開業届を提出し事業を行う人 | 企業と労働契約を結び、組織の一員として働く人 |
契約形態 | 業務委託契約 | 業務委託契約、継続的な商取引 | 労働契約 |
フリーランスは働き方を指す言葉であり、個人事業主は税務上の区分です。つまり、フリーランスの多くは個人事業主でもあるといえます。
会社員は労働基準法に基づく労働契約を結び、会社に属して他人の指揮下で働き、労働の対価として給与を受け取ります。*1 フリーランスは、仕事の内容・進め方・働く時間を自ら決め、成果物や納品物に対して報酬を得ます。
フリーランスのメリット
フリーランスとして働く7つのメリットを紹介します。
時間や働き方を自分で調整できる
フリーランスは勤務開始・終了時刻や稼働日数を自ら決められます。
例えば、午前中に集中的に仕事を終わらせて午後を私生活に充てたり、一定の売上に達したらあえて稼働時間を減らしたりと、状況やライフステージに合わせた柔軟なスケジューリングが可能です。
一緒に働く人を選べる
フリーランスは受託先・外注先を含め、誰と仕事をするかをすべて自分で決定できます。
相性の合わない企業とは契約しない、ハラスメントの懸念がある環境を避けるなど、人間関係のストレスを事前に排除しやすいのが特長です。
頑張った分だけ成果に反映される
フリーランスは、会社員と異なり成果が報酬の基準となるため、スキルアップや質の高い仕事が高単価案件やリピーター獲得に直結します。
年齢や勤続年数による昇給に頼らず、純粋に実力で稼ぎを伸ばせるのが醍醐味です。
幅広い知識や経験が得られ、視野が広がる
フリーランスはさまざまな企業や顧客と関わるだけでなく、営業・経理・マーケティングなど幅広い業務にも自ら取り組みます。
その過程で多様な知識とスキルが身につき、相乗効果で仕事の質も高まります。複数のスキルを組み合わせれば、自分らしいキャリアを築くことも可能です。
得意分野や好きなことを活かして働ける
フリーランスは仕事を選ぶ裁量が大きく、得意分野や興味のある領域に特化した案件を中心に受注できます。
苦手な業務は断るか、対応範囲を調整することで負担を減らせます。自分の強みを明確に示したうえでクライアントと交渉すれば、専門性を活かした提案や貢献がしやすくなります。
仕事とプライベートを両立しやすい
フリーランスは育児・介護・趣味など、生活の優先順位に合わせて稼働時間と稼働量を調節できます。
例えば急な保育園のお迎えや通院が必要になっても、自分の裁量で予定を組み替えられるので仕事とプライベートを両立しやすいです。
年齢に関係なく長く続けられる
フリーランスには定年退職という概念がなく、健康と意欲が続く限り仕事を続けられます。
積み重ねた実績やスキルはむしろ年齢とともに価値が増すため、高齢になっても社会に貢献しながら収入を得ることができます。
フリーランスのデメリット
フリーランスで働く4つのデメリットとそれぞれの対策方法を紹介します。
収入が安定しない可能性がある
フリーランスは固定給がないため、案件が突然なくなったり低単価の仕事しか受注できなかったりすると、収入が不安定になります。さらに、病気やけがで稼働できなくなると収入減に直結します。
こうした状況に備えて、次の対策を行いましょう。
- 生活費の6か月分程度を目安に予備資金を確保する
- 取引先や収入源を複数持ち、1社依存を避ける
- 定期的に過去のクライアントへ連絡し、営業のタネを切らさない
社会的信用を得にくくなる傾向がある
フリーランスは収入が不安定と見なされやすく、住宅・自動車ローンやクレジットカードの審査で不利になる場合があります。
信用力を高めるために、以下の対応を行いましょう。
- 会社員のうちにローン審査やクレジットカード発行を済ませておく
- 確定申告を毎年正確に行い、控えや帳簿をきちんと保管する
- 規模が大きくなったら、公認会計士・税理士の記名入り決算書を用意する
契約、営業、経理などを自分で行う必要がある
フリーランスは、営業活動から契約書の締結、見積書・請求書の作成まで、事業運営に必要な業務をすべて自分でこなさなければなりません。
こうした負担を軽減するために、次の手段を取り入れましょう。
- 案件獲得はフリーランス専門エージェントに部分委託する
- 会計ソフトやクラウド請求書サービスで事務処理を自動化する
- オンライン秘書に雑務を依頼する
福利厚生や社会保障が手薄になる
フリーランスは、会社員のように厚生年金や労災保険といった会社経由の社会保険に原則加入できません。
安心して働き続けるために、次の制度や備えを活用しましょう。
- 年金:iDeCo*2 や国民年金基金*3 を活用し、公的年金に自助努力で上乗せする
- 医療:病気やケガで働けなくなったときの収入減少に備え、就業不能保険などの民間保険を検討する
- 労災:仕事中の事故や災害に備え、労災保険の特別加入制度*4 を利用する
【職種別】フリーランスのメリット・デメリット例
フリーランスとして働く職種別のメリット・デメリットを紹介します。
Web系(エンジニア・デザイナーなど)
メリット
- 成果やスキル次第で高い収入を目指せるため、努力が収入に直結しやすい
- 在宅で仕事が完結する案件も多く、通勤時間を別の活動に有効活用できる
- 自宅で働けるため、介護や育児などと両立しやすい
デメリット
- 対面のコミュニケーションがなくなるため、孤独を感じやすい
- 新しい技術が次々と開発されるため、継続的な学習が欠かせない
- デスクワーク中心の働き方のため、運動不足や健康面の課題が出やすい
美容系(美容師・ネイリストなど)
メリット
- シェアサロン・自宅サロン・出張サービスなど、場所を選べて低コストで開業できる
- 培った技術を活かし、価値に応じた価格でサービスを提供できる
- メニューや価格、デザインなどをすべて自分で決められる
デメリット
- 集客や予約管理などもすべて自分で行う必要がある
- 他人の技術を見て学ぶ機会が少なく、技術を吸収しにくい
- 指名やリピーターが少ないと売上が伸びにくい
整体師・セラピスト
メリット
- 自宅・レンタルスペース・出張など、施術場所の選択肢が広く働き方の自由度が高い
- 価格設定や回数券、オプションメニューなどで単価を上げられる
- 指名が増えれば売上も比例して伸ばせる
デメリット
- 施術は体力勝負で長時間の連続対応が負担になる
- 体調不良やケガで施術できないとすぐに収入が止まる
- 施術による事故や症状が悪化したなどのクレーム対応が自己責任
運送業・ドライバー
メリット
- 定期契約やスポット案件など、働き方のスタイルを自由に選べる
- 配達件数や距離に応じた完全歩合制の案件が多く、稼働するほど収入を得られる
- 基本的に1人で運転・配達するため、人間関係に悩まされにくい
デメリット
- ガソリン代や車両の維持費などが自己負担で経費がかさみやすい
- 悪天候や交通状況で配達効率が下がるなど外部要因で収入が減ることがある
- 長時間運転や荷物の積み下ろしで身体への負担が大きい
フリーランスになる前に準備しておくこと
フリーランスとして独立後に業績を順調に伸ばし、生活を安定させるために、以下の項目を進めておくことをおすすめします。
- 生活防衛資金を確保し、キャッシュフローを把握する
- ポートフォリオや実績を事前に整える
- 人脈やネットワークを早めに広げる
- 副業から小さく始めて手ごたえをつかむ
特に独立前にポートフォリオや実績を整え、交流会やセミナーで人脈を築いておくことで、独立後に仕事がなくて困るリスクを抑えられます。
また、本業で副業が認められている場合は、小さく始めて手ごたえを確かめてから独立に踏み切るのも有効です。
フリーランスのメリットは「自分の意思で決められる」こと
フリーランスはすべてを自分の意思で決められる自由な働き方で、多くのメリットがありますが、収入の不安定さや社会保障の面では注意すべき点もあります。
これらのデメリットに対して事前に備えることで、リスクを最小限に抑えることが可能です。対策を行いながら独立前にできる準備をしっかり整えて、自信を持ってフリーランスとしての一歩を踏み出してください。
一般社団法人 フリーランス互助会では、フリーランスや個人事業主として働く皆さまのために、各種制度や生活に役立つサポートを提供しています。ご興味のある方は、ぜひ当社の公式サイトをご覧ください。フリーランスの皆さまが安心して働ける環境づくりを、私たちがお手伝いします。
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