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フリーランス必見!国民年金に加えて将来受給額を増やす具体戦略

フリーランスとして働くうえで、「将来の年金は国民年金だけで大丈夫だろうか」と不安に感じていませんか。会社員との年金額に差が生まれるのには、制度上の明確な理由があります。
この記事では、その構造的な違いを解説するとともに、フリーランスが活用できる4つの公的な上乗せ制度を徹底比較。あなたに最適な制度の選び方や、節税しながら賢く資産を増やす方法がわかります。将来への漠然とした不安を、今日から具体的な行動に変えていきましょう。
なお、フリーランス互助会では、起業支援や業務支援など、フリーランスや個人事業主向けのサポートを提供しています。社会保障に関するご相談も受け付けていますので、ぜひお気軽にお声がけください。
フリーランスの年金、何が問題?会社員との構造的な違い
フリーランスとして働くうえで、多くの方が「将来の年金は大丈夫だろうか」という漠然とした不安を抱えています。その不安の正体は、会社員との制度上の違いにあります。
日本の公的年金はよく「2階建て」に例えられ、1階が全国民共通の「国民年金」、2階が会社員などのための「厚生年金」です。
一方で、フリーランスが加入するのは基本的に1階の国民年金のみ。この「階数の違い」が、将来受け取る年金額に大きな差を生む根本的な原因となっているのです。
国民年金だけじゃない!フリーランスが活用すべき「じぶん年金」制度4選
国民年金だけでは心もとないと感じても、諦める必要は全くありません。フリーランスには、足りない2階・3階部分を自分で築くための、いわば「じぶん年金」制度が国によって複数用意されています。
これらを活用すれば、将来への備えを大きく充実させることが可能です。ここからは、それぞれの特徴とメリットを持つ代表的な4つの制度について、具体的に解説していきます。
国民年金基金
国民年金基金は、フリーランスなど国民年金の第1号被保険者のために国が用意した、公的な上乗せ年金制度です。掛金は全額が社会保険料控除の対象となり、所得税や住民税を節税しながら将来の年金を増やせます。
また、加入時に選んだプランに応じて将来の受給額が確定する安心感が大きな魅力です。ただし、一度加入すると自己都合での脱退は原則できず、iDeCoと併用する場合は掛金の上限額が合算して計算される点には注意しましょう。
付加年金
「まず何か手軽に始めたい」という方に最適なのが付加年金です。毎月の国民年金保険料に月々わずか400円を上乗せするだけで、将来の年金額を増やせます。
受け取れる年金額は「200円×納付月数」で計算され、2年間受け取れば支払った保険料の元が取れるという、非常にコストパフォーマンスが高い制度です。
ただし、先にご紹介した国民年金基金との併用はできないため、どちらか一方を選択する必要があります。年金対策の入門として、ぜひ検討したい選択肢です。
iDeCo(個人型確定拠出年金)
iDeCoは、フリーランスにとって最も強力な資産形成ツールの一つと言えるでしょう。最大の魅力は「掛金」「運用益」「受取時」の3つのタイミングで手厚い税制優遇を受けられる点です。
フリーランスは月額68,000円まで拠出でき、高い節税効果が期待できます。ただし、積み立てた資産は原則60歳まで引き出せないことや、自分で運用商品を選ぶため元本割れのリスクがあることも理解しておく必要があります。
小規模企業共済
小規模企業共済は、年金とは少し異なりますが、フリーランスにとっての「退職金制度」として非常に有効です。掛金は全額が所得控除の対象となるため、iDeCoと並んで絶大な節税効果を持ちます。
積み立てた資金は、事業を辞めた際や老後の生活資金として受け取ることが可能です。将来の備えだけでなく、万が一の事業リスクにも対応できる心強い制度といえます。
iDeCoと併用することで、節税効果を最大化する組み合わせも検討できます。
あなたに最適な制度の組み合わせと掛金プラン
ここまで4つの制度をご紹介しましたが、「自分にはどれが合うの?」と迷う方も多いでしょう。最適なプランは、あなたの年齢や収入、そして「節税を優先したい」「安定性を重視したい」といった目的によって異なります。
ここからは、具体的な人物像を例に挙げながら、目的別のモデルプランをシミュレーションしてみましょう。ご自身の状況と照らし合わせながら、制度選びの参考にしてください。
パターン別おすすめプラン(30代・節税重視のAさん)
例えば、35歳で課税所得500万円のWebデザイナーAさん。もし節税効果を最大限に高めたいなら、「iDeCo」と「小規模企業共済」の組み合わせがおすすめです。
iDeCoに上限の月6.8万円(年81.6万円)、小規模企業共済に上限の月7万円(年84万円)を拠出した場合、合計165.6万円が全額所得控除の対象に。これにより、所得税・住民税が年間で約46万円も軽減される計算です。
将来の資産を築きながら、現在の税負担を大きく減らせる強力なプランとなります。
パターン別おすすめプラン(40代・安定志向のBさん)
次に、45歳で収入は安定しているものの、投資リスクは避けたいライターのBさん。将来の受給額を確定させたいというニーズには、「国民年金基金」をプランの軸に据えるのがおすすめです。
掛金の上限まで加入して、まずは確定した年金額を確保します。その上で、もし資金に余力があれば、iDeCoのラインナップの中から「元本確保型」の商品を選んで、税制優遇の恩恵だけを受けるという手堅い選択肢も検討できるでしょう。
まとめ:フリーランスの未来は「今の行動」で変えられる
フリーランスの年金対策は、誰かが準備してくれるものではなく、すべて自分自身の行動にかかっています。会社員との構造的な差を理解し、国民年金を土台としながら、今回ご紹介した「iDeCo」や「小規模企業共済」などを賢く組み合わせて、あなただけの「じぶん年金」を築いていくことが不可欠です。
まずはシミュレーションをしてみる、少額からでも付加年金を始めてみるなど、できることからで構いません。今日起こす小さな行動が、10年後、20年後のあなたの未来を大きく変えるはずです。
フリーランス互助会では、フリーランスや個人事業主向けに、社会保障の相談を受け付けています。個人事業主やフリーランスとして働く中で不安がある方は、ぜひフリーランス互助会にご相談ください。