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フリーランスが節税する方法とは?税金の種類や経費・控除の対策8つ

フリーランスが節税するためには、青色申告を活用して経費を正しく計上することや、各種控除を有効に活用することが重要です。

今回は、フリーランスの節税方法について、納める税金の種類とその特徴から節税の基本となる3つの考え方、具体的な節税テクニック、さらに事業ステージに応じた2つの大きな節税戦略まで、幅広く紹介します。

なお、フリーランス互助会では、起業支援や業務支援など、フリーランスや個人事業主向けのサポートを提供しています。個人事業主やフリーランスとして働く中で不安がある方は、ぜひフリーランス互助会にご相談ください。

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フリーランスが納める税金の種類と特徴

フリーランスが納める税金の種類と特徴について、紹介します。

所得税(+復興特別所得税)

所得税は、個人が1年間に得た所得に対して課される国税です。ここでの所得とは、収入から必要経費や各種控除を差し引いた金額を指します。

日本の所得税は累進課税制度を採用しており、所得が多いほど税率が高くなります。税率は5%から45%までの範囲で、控除額も段階的に設定されています。

所得税は、確定申告によって税務署へ申告する必要があります。申告期限は、翌年の3月15日までです。また、申告時には、所得税額に2.1%を乗じた復興特別所得税もあわせて計算し、納付することが求められます。

住民税

住民税は、都道府県や市区町村などの地方自治体に対して支払う税金で、個人の所得に応じて課税されます。

税額は、所得割と均等割の2つの方式で構成されます。所得割は課税所得に対して一律10%が課税され、均等割はおおむね4,000〜5,000円程度です。 具体的な金額は自治体により変わるため、詳細はお住まいの自治体のホームページなどでご確認ください。

加えて、令和6年度からは森林環境税として年額1,000円が上乗せされます。

納税通知書は毎年6月に自治体から送付されます。納付は、6月・8月・10月・翌年1月の年4回に分けて支払う方法と、6月に一括で支払う方法のいずれかを選べるのが特徴です。

個人事業税

個人事業税は、個人で事業をしている人が都道府県に納める税金です。都道府県から届く納税通知書に基づき、通常は8月と11月の年2回に分けて納付します。

課税対象は、年間の事業所得が290万円を超える場合です。これを下回る場合は課税されません。

業種ごとに税率が異なり、例えば文筆業、画家のように課税の対象外となる業種もあります。業種ごとにかかる税率の詳細は、お住まいの都道府県のWebサイトをご確認ください。

消費税

消費税(税率10%)は、商品やサービスの提供に対して課される間接税です。フリーランスの場合、年間売上高が1,000万円以下であれば、消費税の納税義務は免除されます。

ただし、インボイス制度の開始により、これまで免税事業者だった人が課税事業者として登録するケースも増えています。

課税事業者となった場合、前年度(1月〜12月)の課税売上に基づいて消費税額を算出し、確定申告書で申告のうえ税務署に納付します。消費税の申告および納付期限は、毎年3月末です。

その他の税・社会保険料

フリーランスとして働く場合、その他にも自ら納付するべき税金や社会保険料があります。

例えば、不動産や土地を所有している場合は、毎年固定資産税を支払う必要があります。自宅を仕事場としても使用している場合、固定資産税は私的利用と業務利用の割合に応じて按分可能です。

また、フリーランスは自ら国民健康保険と国民年金に加入し、それぞれの保険料を支払います。令和7年度の国民年金保険料は、全国一律で月額17,510円です。 国民健康保険の保険料は、所得や居住する自治体によって異なります。

フリーランスの節税の基本は3つ

フリーランスが税負担を軽くするには、「収入 − 経費 − 所得控除 = 課税所得」の計算構造を理解することが出発点です。

とくに、経費と所得控除の内容を正確に把握し、もれなく申告することが重要です。

ここでは、フリーランスが押さえておくべき節税の基本的な3つの方法について解説します。

青色申告を利用する

青色申告は、フリーランスや個人事業主が確定申告を行う際に選択できる制度で、税制上のさまざまな優遇措置を受けられる点が特徴です。

具体的には、以下のようなメリットがあります。

  • 確定申告で青色申告を選ぶと、税金の計算時に所得から最大65万円を差し引くことができる(青色申告特別控除)
  • 1年間の事業で赤字が出た場合、その損失を最長3年間繰り越して翌年以降の所得から差し引くことができる(純損失の繰越控除)
  • 購入金額が30万円未満の備品については、特例により購入した年にその全額を経費として計上できる(本来は数年に分割して費用化する資産でも、一括で経費にできるため、その年の課税所得を抑える効果がある)

青色申告の特典を受けるためには、所定の期限までに税務署へ「青色申告承認申請書」を提出しなければなりません。すでに事業を行っている方は、その年の3月15日までに申請書を出しましょう。また、今年新しく事業を始めた方は、開業日から2か月以内が提出期限です。

必要経費を漏れなく計上する 

経費とは、仕事を行ううえで必要な事業に関連する費用のことを指します。フリーランスは必要な経費を正しく計上することで、課税所得を減らし、節税効果を得られます。

経費として認められる主な項目は、以下の通りです。

項目

内容

地代家賃

自宅兼事務所の家賃、店舗の賃料など

通信費

インターネット料金、電話代

水道光熱費

水道・電気・ガスなどの光熱費

広告宣伝費

Web広告、名刺作成費、チラシ・折込広告などの宣伝にかかる費用

交通費

クライアント先への訪問や取材にかかる電車・バス・タクシー代

研修費

オンライン講座の受講料、セミナー参加費

消耗品費

文房具、用紙、包装紙、ガソリン代など

減価償却費

業務用パソコン、タブレット端末、カメラ、バイクなど高額な備品の購入費

経費として認められるためには、領収書や請求書などの証拠書類を整理・保管し、それぞれの支出が業務に必要であることを説明できる状態にしておくことが求められます。

所得控除を活用する

所得控除とは、税金を計算する際に所得から差し引くことができる一定の金額のことです。所得控除を活用すれば課税対象となる所得が減り、結果として所得税や住民税などの負担を軽くできます。

所得控除は全部で15種類あり、代表的なものに基礎控除、配偶者控除、扶養控除、社会保険料控除、小規模企業共済等掛金控除などがあります。

会社員とは違い、フリーランスには年末調整がありません。そのため、控除は自身で内容を確認し、確定申告で正確に申告してください。

フリーランスの節税テクニック

基本的な節税策に加え、フリーランスは特有の制度や金融商品を活用することで、さらに節税効果を高めることができます。

ここでは、実用性の高い節税テクニックを8つ紹介します。

1.iDeCo(個人型確定拠出年金)

iDeCo(個人型確定拠出年金)は、自ら運用する金融商品を選んで掛金を拠出・運用し、老後に年金として受け取ることができる制度です。

自営業者の場合は、後述する国民年金基金との合算で、月額68,000円が拠出の上限となっています。また、掛金全額が所得控除の対象となり、運用で得た利益も非課税です。

ただし、掛金は原則60歳まで引き出せないため、余裕資金で行うようにしましょう。

2.小規模企業共済

小規模企業共済は、中小企業基盤整備機構が運営する、個人事業主や経営者向けの退職金制度です。廃業や引退時に解約することで、共済金を受け取ることができます。

掛金は月額1,000円から7万円まで500円単位で自由に設定でき、全額が所得控除の対象です。

ただし、加入から240ヶ月(20年)未満で解約した場合には、解約手当金が掛金の総額を下回ります。 長期的な資産形成をしつつ、節税したい人におすすめの制度です。

3.国民年金基金

国民年金基金は、厚生労働大臣の認可を受けた国民年金基金連合会が運営する制度で、フリーランスが老後の年金受給額を増やすために活用できます。

掛金の上限は月額68,000円で、iDeCoと併用する場合は、両制度の合計がこの上限内に収まるよう調整が必要です。掛金は全額が「小規模企業共済等掛金控除」の対象となります。

加入時には、1口目として2種類の基本型から選び、2口目以降は7種類の年金タイプから追加選択できます。月の掛金額は、選択した型や口数、加入時の年齢・性別によって変わります。

なお、一度加入すると任意で脱退することはできず、掛金は原則として60歳まで引き出せない点に注意が必要です。

4.経営セーフティ共済(倒産防止共済)

経営セーフティ共済は、取引先の倒産による連鎖倒産を防ぐために、中小企業基盤整備機構が提供する共済制度です。

掛金は月額5,000円から20万円まで、5,000円単位で自由に設定でき、全額を必要経費として計上できます。

万が一取引先が倒産した場合、掛金総額の最大10倍(上限8,000万円)までを無担保・無保証で借り入れることが可能です。

また、解約時には解約手当金が支給されますが、加入期間が40ヶ月未満の場合は、掛金の全額が戻らない点に注意しましょう。

5.ふるさと納税

ふるさと納税は、応援したい自治体に寄附をすることで、実質的に2,000円の自己負担を除いた金額が翌年の住民税や所得税から控除される制度です。寄附を行うと、地域の特産品などの返礼品を受け取ることができます。

控除を受けるには、寄附額のうち2,000円を超える部分について確定申告が必要です。申告を行うことで、まず所得税の一部が還付され、残りが翌年度の住民税から控除されます。

6.生命保険料控除・地震保険料控除

生命保険料控除と地震保険料控除も、フリーランスが活用できる節税策です。

生命保険料控除では、民間の生命保険・医療保険・個人年金保険に加入していると、支払った保険料に応じて所得税で最大12万円、住民税で最大7万円が所得控除されます(3つの保険区分に分かれ、それぞれに控除上限があります)。

また、地震保険に加入している場合も、その保険料に応じて所得税で最大5万円、住民税で最大2.5万円までが控除されます。

7.医療費控除

医療費控除は、自分や同一生計の配偶者・家族のために支払った年間の医療費が一定額を超えた場合に、所得から差し引ける制度です。

控除額は、1年間に支払った医療費の合計から保険金などで補てんされた金額を差し引き、さらに10万円を引いた金額です。ただし、総所得金額が200万円未満の場合は、10万円ではなく総所得の5%を基準として差し引きます。控除の上限は200万円です。

対象となる費用や条件は細かく定められているため、詳細は国税庁のWebサイトをご確認ください。

8.国民健康保険料・国民年金保険料

国民健康保険料と国民年金保険料は、社会保険料控除の対象となり、支払った全額が所得控除の対象になります。

この控除は意外と見落とされやすいものの、確定申告で正しく申告すれば税負担の軽減につながるため、忘れずに対応しましょう。

申告時には、社会保険料控除の欄に支払額を記入します。国民年金保険料については「社会保険料(国民年金保険料)控除証明書」の提出が必要です。

また、国民健康保険料は証明書の発行がないため、提出は不要です。

事業ステージで考える2つの大きな節税戦略

最後に、フリーランスの事業規模や成長段階に応じて検討するべき、節税戦略を紹介します。

ある程度事業が軌道に乗り、収入が増えてきた段階では、消費税への対応と法人成りへの選択肢が、節税につながる可能性があります。

1.消費税の節税

フリーランスとして開業した直後は、売上が1,000万円未満であることが多く、消費税の納税義務が免除される免税事業者となります。

しかし、事業の拡大に伴い課税売上高が1,000万円を超える場合や、インボイス制度に登録した場合には、課税事業者として消費税の納付義務が生じます。消費税は税率が高いため、課税事業者になる前に準備を進めることが重要です。

対策の一つとして、簡易課税制度の利用が挙げられます。これは、実際の経費にかかわらず業種ごとのみなし仕入率を用いて税額を計算する制度で、業種によっては納税額を抑えられる可能性があります。

また、課税事業者になると、経費に含まれる消費税を仕入税額控除として差し引けます。

例えば、高額な設備や車両を購入予定の場合、課税事業者となってから購入することで、消費税の還付や納税額の相殺が可能です。

2.法人成り

所得が増えてきた段階で法人成りを検討すると、以下のような税制上・社会保険上のメリットが得られる可能性があります。

  • 法人税率は所得税のような急な累進課税ではなく、税率の上昇が緩やかで上限も低いため、高所得になるほど税率差による節税効果が大きい。
  • 法人契約の生命保険料、出張手当、交際費など、個人事業よりも経費として認められる範囲が広い
  • 設立から2期目までは消費税の納税が免除されるケースがあり、初期の資金繰りに有利になる

法人化すると社会保険への加入義務が生じ、事業主負担の保険料が発生しますが、その分、将来的な年金額や医療保障などが充実します。

法人成りの適切なタイミングや節税効果は所得水準や事業内容によって異なるため、事前に税理士など専門家とシミュレーションを行うことが大切です。

フリーランスの節税を行うために正しい知識をつけよう

税金はフリーランスにとって重い負担ですが、正しい知識と対策によって、その負担を軽減することができます。

ただし、過度な経費計上や申告漏れ、無申告には注意が必要です。延滞税や加算税が課されるだけでなく、税務調査の対象となるリスクもあるため、制度を正しく理解し、誠実な申告を行いましょう。

今回紹介した対策について、できるところから少しずつ実践し、自分に合った節税スタイルを築いていきましょう。

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