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老後資金に差をつける!フリーランスの国民年金基金完全ガイド

フリーランスの年金対策として注目される「国民年金基金」。気になってはいるものの、iDeCoと何が違うのか、どんなメリットがあるのか、よくわからない方も多いのではないでしょうか。
この記事では、国民年金基金の基本的な仕組みから、掛金が全額所得控除になる節税効果や、将来の受給額が確定している安心感といったメリットを詳しく解説します。堅実な老後資金準備の選択肢を、ぜひご検討ください。
なお、フリーランス互助会では、起業支援や業務支援など、フリーランスや個人事業主向けのサポートを提供しています。社会保障に関するご相談も受け付けていますので、ぜひお気軽にお声がけください。
年金の「2階部分」を作る国民年金基金とは?
フリーランスや自営業者が加入する公的年金は、基本的に国民年金(基礎年金)のみです。これは年金制度の「1階部分」にあたり、会社員の厚生年金のような「2階部分」が存在しません。
この差を埋め、より手厚い老後資金を準備するために国が用意した公的な制度が「国民年金基金」です。国民年金に任意で上乗せして加入することで、自らの手で年金の2階部分を構築し、将来の生活基盤をより強固なものにすることを目的としています。
加入条件と対象者
国民年金基金に加入できるのは、日本国内にお住まいの20歳以上60歳未満で、国民年金の「第1号被保険者」の方々です。
具体的には、フリーランス、自営業者、またはその事業を手伝うご家族などが対象となります。
ただし、国民年金の保険料納付を免除(一部免除や学生納付特例などを含む)されている期間は加入できません。また、国民年金の保険料に月400円を上乗せする「付加年金」との併用はできないため、どちらか一方を選択する必要があります。
7つの給付型と選び方
国民年金基金の大きな特徴は、7種類の給付タイプを組み合わせて自分だけの年金プランを設計できる点です。
プランの基本となるのは、生涯にわたって年金が受け取れる「終身年金」(A型・B型)と、受給期間が定められている「確定年金」(I型~V型)です。
例えば、生涯の保障を重視するなら終身年金を厚めに、リタイア後の一定期間の収入を手厚くしたい場合は確定年金を組み合わせるなど、ご自身のライフプランに合わせた柔軟な設計が可能となっています。
国民年金基金に加入する5つのメリット
では、国民年金基金に加入すると、具体的にどのようなメリットがあるのでしょうか。ここでは、国民年金基金が持つ5つの主要なメリットを詳しく見ていきましょう。ご自身の状況と照らし合わせながら、その利点をご確認ください。
掛金全額所得控除で直ちに節税効果を発揮
国民年金基金の最大のメリットの一つは、支払った掛金の全額が「社会保険料控除」の対象となることです。これにより、その年の所得税と翌年の住民税の計算基となる所得額を圧縮でき、税負担が直接的に軽くなります。
つまり、将来のための積立をしながら、今現在の節税も同時に実現できるのです。これは、毎年の確定申告を行うフリーランスにとって、非常に大きな魅力と言えるでしょう。
終身年金A型・B型で生涯の安心を担保
人生100年時代と言われる現代では、「長生き」そのものが経済的なリスクになり得ます。
国民年金基金は、この長生きリスクに備えられる「終身年金」をプランの基本としています。終身年金を選択すれば、その名の通り生涯にわたって年金を受け取ることが可能です。
これにより、何歳まで生きるかという不確定要素に悩まされることなく、老後の安定した収入源を確保できるという、かけがえのない安心感が得られます。
市場変動の影響を受けにくい
国民年金基金は、加入時に選択したプランと掛金に応じて、将来受け取れる年金額があらかじめ約束される「確定給付型」の年金です。
iDeCo(個人型確定拠出年金)のように、日々の株価や金利といった市場の動向によって資産価値が変動し、将来の受給額が変わる心配がありません。経済の浮き沈みを気にせず、計画通りに着実な資産形成を進めたい方にとって、この安定性は大きなメリットとなります。
口数変更・払込停止も柔軟
フリーランスは、年によって収入が変動することも少なくありません。国民年金基金は、一度加入すると自己都合では脱退できませんが、掛金の調整については柔軟に対応できます。
例えば、収入が厳しい時期には掛金の口数を減らして負担を軽くしたり、一時的に払込みを休止したりすることが可能です。
これにより、無理なく長期間にわたって制度を継続していくことができます。
遺族一時金・障害年金で遺族もカバー
この制度は、ご自身の老後だけでなく、万が一の際の家族への保障も備わっています。保証期間が設定されている年金タイプの場合、年金受給前や保証期間中に亡くなられた際には、ご遺族に対して「遺族一時金」が支払われます。
これにより、ご自身に万が一のことがあっても、残されたご家族の生活を支える一助となります。自分だけでなく、家族のことも考えた資産形成ができる点も特徴です。
iDeCo・付加年金との違いを徹底比較
フリーランスが任意で加入できる年金制度には、国民年金基金のほかに「iDeCo」や「付加年金」があり、どれを選ぶべきか迷う方も多いでしょう。特に、同じく節税効果の高いiDeCoとの違いは、多くの方が知りたいポイントです。
ここでは、それぞれの制度の特性を比較し、ご自身にとって最適な選択肢を見つけるためのヒントを解説します。
税制優遇と資金拘束期間の比較
税制優遇の面では、国民年金基金とiDeCoはどちらも掛金が全額所得控除の対象となり、非常に有利な点は共通しています。
しかし、その性質は大きく異なります。国民年金基金は将来の受給額が確定している「安定性」が魅力ですが、一度加入すると脱退できません。
一方、iDeCoは運用次第で資産を大きく増やせる可能性がある「成長性」が魅力ですが、元本保証はなく、原則60歳まで資金を引き出せないという違いがあります。
国民年金基金の特徴を知り、老後の資産形成に役立てよう
国民年金基金は、将来受け取る年金額が確定している安心感と、掛金の全額所得控除による高い節税効果を両立させた、非常に堅実な公的年金制度です。
特に、自分で投資の判断をするのは避けたい方や、計画的に安定した老後資金を準備したいフリーランスの方にとっては、心強い味方となるでしょう。
iDeCoのような他の制度との違いを正しく理解し、ご自身のライフプランやリスクに対する考え方に合わせて、賢く老後の資産形成に役立ててください。
フリーランス互助会では、起業支援や業務支援など、フリーランスや個人事業主向けのサポートを提供しています。社会保障に関するご相談も受け付けていますので、ぜひお気軽にお声がけください。