フリーランス「源泉徴収」のイロハ|受注側・依頼側の注意点も解説
源泉徴収は、報酬を受け取る側だけでなく、支払う側になった際にも深く関わる重要な税金の仕組みです。フリーランスとして活動する中で、自分の専門外の業務、例えばデザインやライティングといった業務を「外注」する場面では、源泉徴収の知識が求められます。
自分が報酬を受け取る際は深く気にしていないものの、いざ自分が支払う側になった時、何をすればいいのか戸惑うフリーランスも少なくありません。本記事では、フリーランスが知っておくべき源泉徴収の基礎知識について、「受注側」と「発注側」それぞれの立場から解説します。
フリーランスが受注する場合の源泉徴収
フリーランスとして押さえておきたい源泉徴収の基本は、報酬を受け取る立場での知識です。対象となる仕事、税額の計算、請求書の書き方という3つのポイントを確実に押さえましょう。
源泉徴収が必要な報酬・不要な報酬
源泉徴収の対象かどうかは、業務内容によって決まります。国税庁では、受注者が個人の場合を想定した、源泉徴収の対象範囲をまとめています。
フリーランスが関連する報酬としては、次のようなものがあげられます。
●原稿料等(懸賞入選時の50,000円以下は対象外)
●士業(弁護士、司法書士等)など、特定の資格保有者に対する報酬等
●モデルなどに支払う報酬等
●テレビ番組や演劇に出演するキャストへの報酬等
●宴会等での接待に従事するスタッフへの報酬等
※参考:国税庁「No.2792 源泉徴収が必要な報酬・料金等とは」
対象となる報酬の例
フリーランスの仕事で源泉徴収の対象に“なる”ものとしては、次のようなものがあげられます。
●原稿料(ライターなど)
●デザイン料(デザイナーなど)
●講演料(コンサルタント、作家、士業など)
●イラスト料(イラストレーターなど)
●テレビCM・イベント出演料(インフルエンサーなど)
クリエイティブなスキルを提供したり、イベント等に出演したりするケースでは、源泉徴収が必要と判断される可能性が高いでしょう。
対象とならない報酬の例
フリーランスの仕事で源泉徴収の対象に“ならない”ものとしては、次のようなものがあげられます。
●システム開発
●アプリ開発
●Webサイト構築(コーディング・プログラミングなど)
エンジニアリングに関連する技術提供は、その多くが源泉徴収の対象外となっています。ただし、受注する業務全体の中で、Webデザインなど源泉徴収の対象となる仕事がある場合は注意しましょう。
税額はいくら?計算方法と請求書の書き方
源泉徴収税額の計算は、報酬額に応じて、次のように決まっています。
支払金額が100万円以下の場合 | 支払金額 × 10.21% |
支払金額が100万円を超える場合 | (支払金額 - 100万円) × 20.42% + 102,100円 |
税率20.42%が適用されるのは「100万円を超える部分」であるため、間違えないよう注意が必要です
例えば、支払金額が150万円の場合、源泉徴収税は以下の通り計算します。
①100万円以下の部分
【1,000,000円×10.21%=102,100円】
②100万円を超える部分
【(1,500,000-1,000,000円)×20.42%=102,100円】
③合計額
102,100円+102,100円=204,200円
また、請求書には、次のようなイメージで「消費税」と「源泉徴収税額」を明確に分けて記載します。
当月小計 | 消費税 | 源泉徴収税 | 今回ご請求額 |
1,500,000 | 150,000 | 204,200 | 1,445,800円[玉広4] |
原則として、源泉徴収の対象額は、消費税等の額を含めた金額です。しかし、請求書の中で報酬と消費税が明確に区分されている場合は、報酬のみを源泉徴収の対象としても問題ありません。
税抜価格表記の方が、実質的に源泉徴収額を少なく抑えられるため、特に理由がなければ報酬と消費税は請求書内で分けて記載することをおすすめします。
確定申告で忘れずに精算を
確定申告は、あくまでも「所得税の前払い」であるため、確定申告時に本来納付すべき所得税額と精算しする必要があります。その際、本来支払うべき所得税額よりも多く払いすぎている場合は、その分が還付されます。
フリーランスが発注する場合の源泉徴収
他のフリーランスに、デザインやライティングなどの仕事を外注する際は、源泉徴収をして国に納税する「源泉徴収義務者」となります。新たなビジネス展開に備えて、支払い側としての手続きを理解しておきましょう。
発注時の源泉徴収が必要になるケース
フリーランスとして働いていても、次のような場合は源泉徴収義務者となり、原則として源泉徴収を行う必要があります。
●個人事業主として従業員を雇っている場合
●従業員はいないが、個人のデザイナーなどに「源泉徴収の対象となる報酬」を支払う場合
なお、支払先が「法人」の場合、源泉徴収は不要です。
<h3>支払い側の3ステップ|計算・天引き・納税</h3>
源泉徴収税を支払う手続きは、以下の3ステップで進めます。
①計算:外注先(個人)への報酬額から、源泉徴収税額を計算します。
②天引き:報酬総額から源泉徴収税額を差し引いた金額を、外注先に支払います。
③納税:天引きした源泉徴収税額を、税務署に納付します。
いつまでに納税する?原則と「納期の特例」
源泉徴収税は、原則として「報酬を支払った月の翌月10日」までに、所轄の税務署へ納税します。
ただし、従業員が常時10人未満の場合、事前に税務署へ届け出ることで、納期を年2回(7月・翌年1月)にまとめられる「納期の特例」の対象となります。
発注・受注も安心!フリーランス源泉徴収Q&A
Q1. 取引先が源泉徴収をしてくれませんでした。どうすればいいですか?
A1. 源泉徴収は支払者側の義務であり、仮に徴収されていなかったとしても、フリーランス側にペナルティはありません。取引先に連絡して回答が得られなかった場合は、確定申告の際に源泉徴収税額を「0円」として、正しく所得を申告・納税すればOKです。
Q2. 外注先(個人)への「支払調書」は発行すべきですか?
A2. 税法上、支払調書の発行は義務ではありません。しかし、外注先が確定申告で困らないよう、年間の支払額と源泉徴収額をまとめた支払調書を発行してあげると親切です。
まとめ
源泉徴収は、フリーランスが報酬を受け取る際の基本知識であると同時に、事業を拡大し外注する際には「支払う側の義務」となります。特に、自分が支払う側になったときの手続きは、知っているかどうかで業務の効率が大きく変わるでしょう。
なお、フリーランス互助会では、月々39,500円から確定申告や税金面でのサポートが可能なプランをご用意しています。将来のビジネス展開にあたり、経理面で不安を感じているフリーランスの方は、お気軽にご相談ください。
<参考URL>
https://biz.moneyforward.com/tax_return/basic/52338/
https://www.e-xtreme.co.jp/topics/17197/
https://tech-stock.com/magazine/withholding_tax/
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/gensen/2792.htm
https://freenance.net/media/money/34861/
https://paytner.co.jp/paytter/freelance/2196/
https://travelworker.jp/2023/01/41/