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フリーランスが払う税金はどれくらい?所得税、住民税、健康保険料などを所得別にシミュレーション

フリーランスとして活動を始めたばかりで、税金や確定申告が不安ではありませんか?
フリーランスが負担する主な税金は、所得税・住民税・国民健康保険料・国民年金です。このうち所得税、住民税、国民健康保険料は、収入から経費や控除を差し引いた『所得』を基準に計算されます。一方、国民年金保険料は所得にかかわらず定額です。
- 収入(売上):クライアントからの報酬や事業の売上総額
- 経費:事業に必要な支出(パソコン、通信費、交通費など)
- 所得:収入-経費。税金計算の基礎となる実際の利益
この記事では、フリーランスが支払うこれらの税金の基本を解説。また、所得別シミュレーション(300万円・500万円・800万円・1100万円) をもとに、実際どれくらい手元にお金が残るのかをわかりやすくご紹介します。
フリーランスが支払う税金とは?基本を押さえて将来の不安を減らそう
まずは、フリーランスにかかる主な税金の種類を押さえましょう。
- 所得税: 1年間の所得から各種控除を差し引いた「課税所得」に対して課される税金
- 住民税: 前年の所得にもとづいて地域ごとに課税される税金
- 国民健康保険料: 前年の所得に応じて課せられる健康保険料
- 国民年金: 定額で納める年金保険料
- 個人事業税: 290万円以上の所得に対して課税される税金
- 消費税: 収入が1,000万円を超える場合に課税される税金
これらの計算方法を理解すれば負担感を把握しやすくなり、適切な管理が可能になります。
フリーランス必見!税金の支払いタイミング早見表
税金は計算するだけではなく、納期限を守ることが大切です。支払時期を把握しておけば、延滞税や利息の支払いを避けられます。
また、前々年の課税売上高が1,000万円を超えると、その年から消費税の納税義務者となります。消費税の納付期限は、原則として翌年の3月31日です。
税金名 | 支払い時期 | 備考 |
---|---|---|
所得税 | 確定申告期間内(2月16日〜3月15日)に申告・納付 | 3月15日が休日の場合は翌日 |
住民税 | 翌年6月末〜翌々年1月末までの4回分割納付(6月・8月・10月・1月) | 一括納付も可能 |
国民健康保険料 | 6月〜翌年3月までの10期分割納付が主流 | 年額一括は自治体による |
国民年金 | 毎月分の納付 例:5月分は6月末までに納付 | 納付期限は「対象月の翌月末」 |
個人事業税 | 8月末(第1回)、11月末(第2回)納付 | 納税額により1回納付もあり |
消費税 | 翌年3月31日までに申告・納付 | 売上1,000万円超の事業者のみ対象 |
「どれくらい払うのか?」フリーランスの税金計算を簡単に解説
フリーランスが支払う税金は、年収や経費によって異なります。ここでは、主な税金の計算方法を簡単に解説します。
所得税の計算方法
- 所得税額 = (課税所得 × 税率) - 控除額
所得税は1年間の所得から各種控除を差し引いた「課税所得」に対してかかります。税率は課税所得額に応じて段階的に上がり、20%を超えることもあります。
出典:国税庁|所得税のしくみ
住民税の計算方法
- 住民税=所得割(前年の課税所得×10%)+ 均等割
住民税は所得割と均等割の2つで構成されます。所得割は課税所得額に応じて計算し、均等割はすべての対象者に同じ金額が課されます。
出典:大阪市|税額の計算
国民健康保険料の計算方法
- 国民健康保険料=所得割+均等割+平等割+資産割
国民健康保険料は、前年の所得に応じて算出され、所得が多いほど増加します。一般的には所得の10%〜12%程度の金額が課せられることが多いです。
国民年金の計算方法
国民年金保険料は年収に関係なく一律で、2025年度は月額17,510円(年間210,120円)です。年収が低い場合には減免制度があり、減額が適用されることもあります。
個人事業税の計算方法
- 個人事業税額 = (事業所得など − 事業主控除290万円) × 税率
個人事業税は、所得が290万円を超えると所得に対して課せられます。税率は業種によって異なり、通常は5%程度です。農業や小説家、漫画家など、個人事業税が課せられない職業もあります。
出典:東京都主税局|個人事業税
消費税の計算方法
消費税は、年間売上が1,000万円を超えるフリーランスに課せられる税金です。売上に対して10%の消費税が課税され、預かって納付する必要があります。

所得別シミュレーション!実際に払う税金と手取り額を確認しましょう
所得別に税額と手取り額をシミュレーションし、税金負担を確認します。フリーランスの場合、売上(収入)そのものではなく、所得が税金計算のベースになります。
所得300万円、500万円、800万円、1,100万円のシミュレーションを通じて理解を深めましょう。
シミュレーションの前提条件
このシミュレーションは以下の前提条件に基づいています。これらの条件が異なる場合、税額が変動する可能性がありますのでご注意ください。
- 居住地:東京都大田区(住民税の地域差が影響)
- 年齢:30歳
- 扶養家族の有無:扶養家族なし
- 青色申告:実施
これらの条件を踏まえて、以下にシミュレーションを示します。
所得300万円のフリーランスが払う税金と手取り額
- 所得税:54,100円
- 住民税:156,000円
- 国民健康保険料:199,600円
- 国民年金:210,120円
- 個人事業税:5,000円
手取り額:2,382,680円
所得500万円のフリーランスが払う税金と手取り額
- 所得税:212,000円
- 住民税:335,200円
- 国民健康保険料:407,600円
- 国民年金:210,120円
- 個人事業税:105,000円
手取り額:3,837,580円
所得800万円のフリーランスが払う税金と手取り額
- 所得税:756,000円
- 住民税:604,000円
- 国民健康保険料:719,600円
- 国民年金:210,120円
- 個人事業税:255,000円
手取り額:5,712,780円
所得1,100万円のフリーランスが払う税金と手取り額
- 所得税:1,350,970円
- 住民税:883,900円
- 国民健康保険料:920,000円
- 国民年金:210,120円
- 個人事業税:405,000円
- 消費税:1,500,000円
手取り額:5,730,010円
※消費税は「所得」ではなく「売上」にかかります。ここでは簡易的に想定した売上1,500万円に対する10%計上しています。
フリーランスの税金不安を解消するための最初の一歩
合法的に税金を減らす方法として、経費計上や小規模企業共済、確定拠出年金(iDeCo)の活用があります。これらの節税対策を活用することで、税金の負担を軽減しながら将来の資金も準備できます。
- 経費計上:事業に必要な支出をもれなく経費として計上すれば課税対象額が減り、結果として税負担を軽減できます。
- 小規模企業共済:経営者が退職金を積み立てる制度で、掛金は全額所得控除となり、節税効果があります。
- 確定拠出年金(iDeCo):個人で積み立てる年金制度。掛金は全額所得控除となり、運用益も非課税となるため、節税対策として活用できます。
出典:独立行政法人中小企業基盤整備機構|小規模企業共済とは、iDeCo公式サイト|iDeCo(イデコ)のメリット
具体的な節税方法については、別の記事で詳しく解説していますので、ぜひご覧ください。
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まとめ|税金管理を正しく行い、フリーランスとして安心して働ける基盤をつくりましょう
フリーランスとして活動を始めたばかりの方にとって、税金管理は大きな不安要素ですが、正しい知識を身につけることで、不安はぐっと軽減できます。
計算方法や支払時期を把握し、シミュレーションで負担を確認しておけば安心して仕事に集中できます。さらに、経費計上や節税制度の活用で手取り額を増やすことも可能です。
税金の管理をしっかりと行い、安定したフリーランスライフを実現しましょう!